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解剖学講座 顕微解剖学分野

解剖学講座 顕微解剖学分野

解剖学講座 顕微解剖学分野

講座について

生体を構成する各物質はただ必要な量があれば良いというものではなく、生命活動を正しく維持していくためには、物質が一定の秩序に基づいて適切な場所に局在すること、すなわち「構造」の存在が重要です。我々、解剖学講座顕微解剖学分野は、この生命現象の礎となる生体の「構造」に焦点を絞り、様々な器官、組織、細胞の微細構造・分子構築の特徴やその生理的意義について、主に顕微鏡を使った解析方法で検討しています。
このような基本哲学、方法論、研究成果をもとに、学部学生の教育に関しては、組織学の講義・実習(2年次前期「機能形態基礎医学Ⅰ」および「形態学実習Ⅰ」と骨学実習(2年次前期「形態学実習Ⅰ」)を担当しています。さらに、医学研究特論(4年次)を当講座で履修する学生には、免疫組織化学法と電子顕微鏡観察を中心とした形態学的研究法の手ほどきをし、形態学的センスに基づいて様々な生命現象を捉えられるよう指導しています。
また、大学院学生に対しては、「形態学的研究法の原理と実際」について基盤講義で概説し、さらに本講座で現在取り組んでいる「内分泌細胞における分泌顆粒形成機構、分泌蛋白動線の特性、分泌蛋白品質管理機構」などの細胞生物学的主題に関して、最新の知見を特論講義で紹介しています。さらに、本分野を専攻する大学院生には、電子顕微鏡観察技術(透過型及び走査型)や免疫組織化学法(光顕及び電顕レベル)などを自在に駆使して「構造」の視点から深く生命現象を解析できるように指導しています。

教授挨拶

初代・松嶋少二教授の後任として、2000年10月から解剖学講座・顕微解剖学分野(旧解剖学第二講座)を担当しております。研究対象としては大学院時代から一貫して、下垂体前葉や膵島などのペプチドホルモン産生細胞を扱っており、様々な実験内分泌学的アプローチで機能状態を変化させた動物の上記組織・細胞を解析することにより、分泌顆粒の形成機構、ゴルジ装置の構築と分泌蛋白動線、粗面小胞体における分泌蛋白品質管理機構などの解明に取り組んでおります。

スタッフ紹介

教授

渡部 剛ワタナベ ツヨシ

准教授

甲賀 大輔コウガ ダイスケ

助教

春見 達郎ハルミ タツオ

助教

森永 涼介モリナガ リョウスケ

事務補助員

武田 和恵タケダ カズエ

教育

学部における担当講義・実習

医学科講義

  • 第2学年前期・機能形態基礎医学Ⅰ (45コマ)
  • 第2学年前期・形態学実習Ⅰ (69コマ)
  • 第2学年後期・基礎医学特論 分泌現象の細胞生物学( 1コマ)
  • 第4学年後期・医学研究特論 (150コマ)
  • 第3学年後期・選択必修コース 糖尿病・内分泌Up Dateコース (1コマ)
  • 第3学年後期・選択必修コース 生体構造機能蛋白、病態解析コース (1コマ)

研究

主な研究テーマ

当講座の研究主題は、内分泌細胞や神経細胞など調節性分泌経路を持つ細胞における細胞内膜系小器官の構築の特徴、生理的意義、形成機構を解明することです。現在取り組んでいる具体的な研究テーマとしては、

  1. 内分泌細胞における分泌顆粒形成機構の解明
  2. 内分泌細胞におけるゴルジ装置の構築、極性と分泌蛋白動線の特徴の解明
  3. 実験内分泌学的アプローチを活用した分泌蛋白品質管理機構の解析

などです。
 
また、これらの研究主題を進めていく上で、複合的な内分泌組織中の特定の細胞を同定し、その細胞内における分子局在を正確に把握する技術が不可欠ですが、そのような技術的側面に関しても、以下のような取り組みを進めています。

  1. 光顕レベルの免疫組織化学法の精度の改善:樹脂包埋連続薄切切片の多重蛍光免疫組織化学標識
  2. 電子顕微鏡観察用の樹脂包埋組織標本作製法の改良:微細構造と抗原性をともに向上させる包埋法の開発
  3. 断面情報と立体情報を統合する顕微鏡観察技法の開発:走査型電子顕微鏡標本で分子局在を把握する方法の開発

さらに、代表的な内分泌組織である下垂体前葉に関しては、任意の研究主題をいつでもすぐに展開できるように、様々な実験モデル(去勢手術、副腎摘出術、甲状腺摘出術、性ステロイド持続投与など)の動物から免疫組織化学解析用の樹脂包埋標本ライブラリ(光顕及び電顕)を系統的に作製する作業を進めています。
このような研究主題や研究技法に興味を持ち共同研究を希望される方は、気軽に当講座までご連絡ください。