外科学講座 肝胆膵・移植外科学分野は、1975年4月に外科学第二講座として開講し、2007年に外科学講座 消化器病態外科学分野に名称変更、2018年更に分野を細分し名称変更した。外科学講座としては2016年に旧第一外科と合併し、任意団体であった外科医局を全国で初めて一般社団法人化した旭川医科大学外科教育支援機構(Asahikawa Medical University Surgical Educational Support Organization AMUSE)を立ち上げた。
医局員は当初、水戸教授以下5名でスタートし、その後旭川医科大学卒業生を主体に医局員は増加し、現在同門会員は150名、いわゆる医局員は40名となった。女性医局員も数多く在籍し、外科医だけでなく結婚生活、子育てを両立させている。
開設当初、関連病院が市内に数カ所あるのみであったが、現在は全国の多くの主要施設が関連病院となり、同門会員が行う年間手術件数は5,000件におよび各地域の医療に大きく貢献している。大学における手術件数も年々増加し、現在では肝胆膵・移植外科/消化管外科を合わせて年間770件を超え、そのうち肝胆膵外科は約250件を占めている。大学では肝胆膵高度技能修練施設(A)として肝癌、膵癌、胆道癌などの肝胆膵悪性腫瘍手術やエキノコックス症や膵胆管合流異常症などの肝胆膵良性疾患に対する手術の修練が可能で、道北道東地域では唯一肝移植を行っている施設でもある。また、消化器外科医が修練しなければならない外科手術(胆石症、虫垂炎、ヘルニアなど良性疾患)に対しても大学で経験を積むことができる。消化器外科以外の外科手術に関しても、統合外科医局(AMUSE)として現在60施設を超える関連施設での幅広い研修が可能であり、心臓、大血管、血管、呼吸器、乳腺、救急医療に関しても道内外の著明な関連施設で専門医としての修練が可能である。
現在、腹腔鏡手術は低侵襲手術として急速に広まっているが、当科関連施設が全国に先駆けて腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った経緯もあり、早くから虫垂炎・胃癌・大腸癌などへも積極的に適応拡大を行ってきた。また、最近は肝癌・膵癌など実質臓器の腹腔鏡手術にも力を入れており、2015年には北海道初のロボット支援下肝切除術も行われている。紹介される患者の地域も旭川近郊だけでなく北海道全域に及び、肝移植においては道内にとどまらず全国各地から幅広く患者を受け入れ、宗教上の理由により輸血不可の患者に対する生体肝移植も行った。臨床だけでなく教育・研究にも目を向け多くの成果が得られている。等講座の関連である移植医工学治療開発講座では肝移植におけるドナー肝臓の灌流保存に関する研究で世界の最先端を走っており、他大学や企業と連携して医療機器開発の分野においても大いに期待されている。
医局には次世代を担う若手外科医の養成に燃えるベテラン外科医、ブラックジャックを彷彿させる外科医など多士済々な外科医が在籍し、高度な医療技術を提供出来るだけでなく信頼される医療人としての人格形成ができる講座を目指している。