がん遺伝子診療部
施設について
「がんゲノム医療」とは、それぞれの患者のがんについて遺伝子の変異を明らかにし、解析結果に即して実際に行う医療のことです。患者の身体からがん組織を採取し、その遺伝子を調べることによって、そのがんの特徴を知ることが出来るようになりました。既にいくつかのがんにおいては、遺伝子の変化について個別に検査し、その結果に応じた治療薬の使い分けが行われています。がん遺伝子パネル検査は、一度に複数の遺伝子を解析することが可能な次世代シークエンサーという機器を用いて、多数の遺伝子変異の解析を行う検査です。医療現場で行うことで治療薬の選択に応用できるというメリットがあります。
旭川医科大学病院は2018年10月にがんゲノム医療連携病院に指定され、がんゲノム医療中核拠点病院である北海道大学病院やその他の連携病院と協力しながらがんゲノム医療を行なってきました。保険診療で実施するがんゲノム医療の実践には、専門的な知識や技術を有する医師やその他の医療職の参加はもちろん、多職種の協働が必要です。旭川医科大学病院がん遺伝子診療部は、紹介元病院および各診療科の協力を頂きながら検査を実施しています。一人でも多くの患者さんが遺伝子変異に基づく個別化治療が受けられるよう、体制を強化してお待ちしております。
スタッフ紹介
部長
田邊 裕貴タナベ ヒロキ
副部長
髙橋 賢治タカハシ ケンジ
佐々木 高明ササキ タカアキ
田中 宏樹タナカ ヒロキ
髙橋 裕之タカハシ ヒロユキ
安藤 勝祥アンドウ カツヨシ
山本 昌代ヤマモト マサヨ
小林 進コバヤシ シン
大竹 晋オオタケ シン
佐藤 広崇サトウ ヒロタカ
臺 鮎香ダイ アユカ
主な業務内容の紹介
旭川医科大学病院 がん遺伝子パネル検査のお知らせ
がん遺伝子パネル検査について
がん遺伝子診療外来では、がん遺伝子検査の目的や意義等について説明します。患者さんが検査の実施に同意された場合には、病理組織検体の準備を行い、検査会社へ提出します。得られた検査結果をもとに推奨される治療薬について北海道大学病院の専門チームと旭川医科大学病院その他の連携病院の医師等が参加する専門家会議(エキスパートパネル)で検討した後、患者さんに結果を説明します。
結果が出るまでのおよその期間は8週間程度を予定しています。
がん遺伝子パネル検査とは
がん(腫瘍)の持つ遺伝子の特徴を調べる検査をがん遺伝子検査と言います。がん遺伝子検査によってそのがんに特有の遺伝子の変化が見つかった場合、その変化に対して効果の期待できる治療が行える可能性があります。がん遺伝子パネル検査とはがん(腫瘍)遺伝子の変化を複数同時に測定する検査のことです。
こうした検査の結果で推奨される薬剤には、保険診療が適用される一般の抗がん剤や分子標的治療薬に加えて、現在臨床研究中(治験等)の薬剤などが含まれます。
遺伝カウンセリングについて
この検査では、先天的な遺伝子の変化(生殖細胞系列遺伝子変異)として、遺伝性腫瘍の素因を持っている可能性を示す遺伝子の情報が見つかることがあります。
このような情報については、「同意書」で、遺伝性腫瘍に関する情報の提供を受けることを希望されるかについてお伺いします。ただし、この検査で判明する体質に関する情報は、あくまでも可能性を示す参考情報であり、確定診断にならない可能性があることをご承知ください。さらに、詳細な情報を得たい場合には、別途、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を受けて頂く必要があります。
検査の費用と種類について
がん組織を使用する検査
OncoGuide™NCCオンコパネルシステム | FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイル | GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム |
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検査対象遺伝子数 | DNA 124 | DNA 324 | DNA 737 RNA 455 |
使用する検体 | 組織+血液 | 組織 | 組織+血液 |
料金 | 保険診療の料金56万円の1~3割が自己負担となります。検査提出時と結果説明時に2回に分けてご請求させていただきます。高額療養費制度の対象となる可能性があります。他院からご紹介の方は病理診断料がかかります。 |
血液のみを使用する検査(がん組織の採取が困難な場合にのみ、末梢血を使用して実施します)
Guardant360 CDx がん遺伝子パネル |
FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイル | |
---|---|---|
検査対象遺伝子数 | 血中循環腫瘍DNA 74 |
血中循環腫瘍DNA 324 |
使用する検体 | 血液 | 血液 |
料金 | 保険診療の料金56万円の1~3割が自己負担となります。検査提出時と結果説明時に2回に分けてご請求させていただきます。高額療養費制度の対象となる可能性があります。 |
外来の予約について
「がん遺伝子診療外来」は完全予約制です。現在通院中の病院からの紹介および予約が必要です。現在通院中の主治医の先生にご相談の上、病院を介して予約してください。
※検査のお申込みには、検査を受けられるご本人の受診が必要です。また、受診の際にはご家族などと一緒に外来受診をお願いします。
がん遺伝子診療外来の流れおよび医療費請求
検査を受ける際の注意点
この検査を利用しても「がん」の治療に役立つ情報が得られない可能性もあります。
検査をしても、遺伝子に変化が認められないことや、遺伝子の変化が認められたとしても、それに適した薬剤がないなど、患者さんの「がん」の治療に直接役立たないこともあります。
また、この検査は治療効果が期待できる治療薬の情報を提供しますが、その治療薬の治療効果を保証するものではありません。
検査後の治療について
現在、保険診療で認められている標準治療が行われている患者さんは、その標準治療が優先されることが多く、検査の結果に基づく治療は標準治療が終了した後の選択肢として考慮されることが殆どです。
がん遺伝子パネル検査の結果は、現在通院中の主治医にその情報を提供します。その後の治療については現在通院中の主治医と相談してください。
がん遺伝子パネル検査は、あくまで現在通院中の主治医の判断に必要な情報を提供するものであって、がん遺伝子解析の結果が、主治医の判断よりも優先されることはありません。
がん遺伝子パネル検査に関するお問い合わせ
旭川医科大学病院 がん相談支援センター
- 相談時間:平日 8:30~17:15
- 相談方法:面談および電話相談(要予約)
- 電話番号:0166-69-3231(直通)
「がん遺伝子パネル検査」を検討する方にご理解いただきたいこと
パンフレット
医療機関の方へ
保険診療でおこなうパネル検査の適応は、標準治療がない固形がん患者または局所進行もしくは転移が認められ、標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)であって、関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、全身状態及び臓器機能等から、本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した者となっております。適応につき紹介前にご検討ください。
また、保険診療での検査にあたり、患者さんの同意のもと、国立がん研究センターがんゲノム情報管理センターへの情報登録が必要となります。そのため、検査申し込みにあたり、臨床情報やこれまでの薬物療法についての詳細な経過が必要となりますので、ご準備ください。
受診手続きについて
貴院の担当者(地域医療連携室等)からFAXにて当院患者総合サポートセンター(FAX0166-69-3044)へ「がん遺伝子診療外来予約申込書兼診療情報提供書(様式あり)」に記載の上、お申込みください。内容を担当者が確認のうえ、患者総合サポートセンター受付担当より折り返し受診日をご案内いたします。
外来受診の際、現在までのがん診療に関する「がん遺伝子診療外来予約申込書兼診療情報提供書(様式あり)」、1か月以内の採血結果、病理組織報告書が必須となりますのでご準備願います。
結果が出るまで約8週間程度かかります。
検査にはホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本が必要です。検体の準備につきましては、ご紹介いただいた先生にお願いしております。患者さんが「がん遺伝子診療外来」を受診し検査を希望された場合、FAXにて病理検体の検体送付依頼書を送らせていただきます。
ご提供いただくホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックおよび標本について
- 3~5年以内に作成されている検体であることが重要です。
- 原則として、検体組織中の腫瘍細胞の占める割合がが20%以上のもの。
- 過去に受けた放射線治療の照射範囲に含まれていた組織の標本は検査に使用できません。
- 原則としてブロックでの貸し出しにご協力ください。
- 病理スライド標本と代表部のブロック、病理報告書コピー、切り出し図コピー、検体送付時チェック表をご同封のうえ、旭川医科大学病院患者総合サポートセンター(〒078-8510 旭川市緑が丘東2条1丁目1-1)宛てにご郵送ください。
旭川医科大学病院がん遺伝子診療外来予約申込み書兼診療情報提供書
→所定の書式をダウンロード(患者総合サポートセンター)
旭川医科大学病院 患者総合サポートセンター
電話:0166-69-3055
FAX:0166-69-3044