看護師特定行為 / 特定行為研修
看護師特定行為とは
特定行為は、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為です。
当院で実施している特定行為は、下記の26行為です。
旭川医科大学病院で提供できる特定行為(26行為)
・経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 ・侵襲的陽圧換気の設定の変更 ・非侵襲的陽圧換気の設定の変更 ・人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 ・人工呼吸器からの離脱 ・気管カニューレの交換 ・低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更 ・胸腔ドレーンの抜去 ・腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む) ・胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 ・膀胱ろうカテーテルの交換 ・中心静脈カテーテルの抜去 ・末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 ・褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 ・創傷に対する陰圧閉鎖療法 ・創部ドレーンの抜去 ・直接動脈穿刺法による採血 ・橈骨動脈ラインの確保 ・持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 ・脱水症状に対する輸液による補正 ・硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 ・持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 ・持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 ・持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 ・持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 ・持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 |
看護師特定行為研修とは
特定行為研修は、看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修です。
本院は、2021年8月17日に看護師による特定行為指定研修機関として厚生労働大臣より指定を受け、同年10月1日から研修を開始し、特定行為を実施する看護師を育成しています。
1.看護師特定行為研修
1)目的
本研修は、地域医療及び高度急性期医療の場において、医療安全に配慮しながら、特定行為実施に向けた専門的知識及び技術を習得し、地域社会に貢献できる看護師を育成する。
2)目標
(1)医療の場において、迅速かつ包括的なアセスメントを行い、特定行為を行う上での知識・技術及び態度を習得する。
(2)医療の場において、患者の安全・安楽に配慮し特定行為を実施する能力を養う。
(3)医療の場において、チームのキーパーソンとして、提供する適切な医療・看護の検討や問題解決に向け、多職種や地域の医療者と効果的に協働する能力を養う。
3)期間
1年間
10月 | 開講式 |
10月~3月 | 共通科目:講義(e-learning)、演習、実習、科目修了試験 |
4月~9月 | 区分別科目:講義(e-learning)、演習、手技練習、OSCE、科目修了試験、臨地実習 |
9月 | 修了式 |
4)学習内容
(1)共通科目
・臨床病態生理学
・臨床推論
・フィジカルアセスメント
・臨床薬理学
・疾病・臨床病態概論
・医療安全学/特定行為実践
(2)区分別科目
地域の医療・看護への貢献に努めるとともに、看護職の皆さんそれぞれが目指す看護師像に近づけるように3つのコースを用意しています。
( i )外科術後病棟管理領域
区分 | 特定行為 |
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | ・経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | ・侵襲的陽圧換気の設定の変更 ・非侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | ・気管カニューレの交換 |
胸腔ドレーン管理関連 | ・低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更 ・胸腔ドレーンの抜去 |
腹腔ドレーン管理関連 | ・腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む。) |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | ・中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | ・末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創部ドレーン管理関連 | ・創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | ・直接動脈穿刺法による採血 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | ・持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
術後疼痛管理関連 | ・硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | ・持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 ・持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 |
( ii )術中麻酔管理領域
区分 | 特定行為 |
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | ・経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | ・侵襲的陽圧換気の設定の変更 ・人工呼吸器からの離脱 |
動脈血液ガス分析関連 | ・直接動脈穿刺法による採血 ・橈骨動脈ラインの確保 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | ・脱水症状に対する輸液による補正 |
術後疼痛管理関連 | ・硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | ・持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 |
( iii )区分別 以下の10区分から必要な区分を選択して受講できます
区分 | 特定行為 |
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | ・経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | ・気管カニューレの交換 |
胸腔ドレーン管理関連 | ・低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更 ・胸腔ドレーンの抜去 |
腹腔ドレーン管理関連 | ・腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む。) |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | ・中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | ・末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創部ドレーン管理関連 | ・創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | ・直接動脈穿刺法による採血 ・橈骨動脈ラインの確保 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | ・持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 ・脱水症状に対する輸液による補正 |
術後疼痛管理関連 | ・硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
5)研修体制・環境
(1)研修・指導
研修指導は、経験豊富な医師・薬剤師・看護師が担当します。
(2)研修場所
e-learning(自宅等)
研修室(看護師特定行為研修室)
(3)実習
所属施設(協力施設として、旭川赤十字病院、市立稚内病院が指定を受けています。)
6)旭川医科大学病院特定行為研修の特徴
(1)実績を積んだ指導医・薬剤師・看護師による指導
専門性の高い幅広い診療科(部)の医師、経験豊富な薬剤師と、本院で活動する看護師が指導を行います。
(2)仕事と両立しやすい研修プログラム
インターネット環境を利用したe-learningを利用して、多くの研修をいつでも・どこでも受講できるようにしています。また指導者から直接指導を受ける学習は、受講日時をまとめて、来院する回数を少なくし、業務に極力影響が生じないようにしています。
(3)ニーズに即した特定行為を選択可能
2つのパッケージコースと10区分の中から必要な区分を選択する区分別選択コースを設けて、目指す看護師像に必要な特定行為を選択できます。
(4)大学ならではの充実した学習環境
図書館が利用でき、またトレーニングモデルも充実し、学習環境が整っています。
2.募集案内
※第4期受付は終了しました
3.特定行為研修修了者の声
1)配置
現在当院では、以下の部署で特定看護師が活動しています。(2024年6月現在)
ICU・HCU・手術部・救命救急・消化器外科病棟・脳神経外科病棟・専従
2)特定行為研修修了者の声
Ⅰ期生 2022年「外科術後病棟管理領域」特定行為研修修了
私はHCUに勤務しています。高度急性期の患者さんに、フィジカルアセスメントを活用しタイミングを見極めたケアの提供や、スタッフ支援を行っています。また廃用症候群予防のため多職種と連携し、呼吸理学療法やリハビリの援助を行っています。 |
Ⅱ期生 2023年「外科術後病棟管理領域」特定行為研修修了
私は脳神経外科の病棟に勤務し、脳卒中や脳腫瘍などの急性期疾患に対する治療を必要としている患者さんのケアに携わっています。病状に変化がみられた際や全身管理を必要とする際、医師と協働して特定行為を実施し、適切な治療に繋げられるよう活動していくことを目標としています。また、処置に関しては、個別性を踏まえた方法やタイミングについて患者さんや看護師間で話し合いながら検討していくことにより、最善のケアに繋げていきたいと考えています。さらに、特定行為看護師としての知識や技術をスタッフ間で共有し、チーム全体として患者さんに提供し、看護の質を高められるよう積極的に活動していきたいです。 |
私は院内の看護師特定行為研修の2期生として、外科術後病棟管理領域パッケージコースを修了し集中治療室で勤務しています。 |