本院では、人生の最終段階を迎える患者について、厚生労働省「人生の最終　段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、医師や看護師、医療ソーシャルワーカー等の多職種から構成される医療・ケアチームで、患者とその家族等に対し適切な説明と話し合いを行い、患者本人の意思決定を基本とし、医療・ケアをすすめるものとする。

1. 患者の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明を行う。
   そのうえで、患者または家族と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた患者による意思決定を基本とし、多職種から構成される医療・ケアチームとして方針の決定を行う。
2. 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて患者の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、患者が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援を行う。患者が自らの意思を伝えられない状態になる可能性もあるため、家族等も含めた話し合いを繰り返し行う。
3. 支援・決定内容は、診療録に分かりやすく記録する。

1. 家族等が患者本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとっての最善である医療・ケアの方針を医療・ケアチームとともに検討し、決定する。
2. 家族等が患者本人の意思を推定できない場合には、患者にとって何が最善であるかについて、家族等と医療・ケアチームにより十分に話し合い、決定する。
3. 家族等がいない場合、または家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合は、患者にとって最善と思われる医療・ケアの方針を医療・ケアチームが慎重に検討し、決定する。
4. 支援・決定内容は、診療録に分かりやすく記録する。

　上記（1）（2）での決定が困難な場合、医療・ケアチームは旭川医科大学病院倫理委員会に検討を依頼し、助言を得る。

　障害者や認知症等で、自らが意思決定をすることが困難な場合は、厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」を参考に、できる限り患者本人の意思を尊重し反映した意思決定を、家族及び関係者、医療・ケアチームが関与して支援する。

　身寄りがない患者における医療・ケアの方針についての決定プロセスは、本人の判断能力の程度や入院費用等の資力の有無、信頼できる関係者の有無等により状況が異なるため、介護・福祉サービスや行政の関わり等を利用して、患者本人の意思を尊重しつつ厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を参考に、医療・ケアチームが関与してその決定を支援する。

・人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン
厚生労働省 2018年3月改訂
・認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
厚生労働省 2018年6月
・身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン
研究代表者 山縣然太朗

令和6年7月　旭川医科大学病院長