教 授 : 中山 恒(なかやま こう)
薬理学とは薬の作用機序を明らかにする学問です。薬には、家庭にある常備薬から医療現場で使用する薬まで、さまざまな種類があります。講義では、疾患の治療に用いられる代表的なものを例に、その作用機序をわかりやすく説明します。学生の皆さんには、その薬をなぜ使うのか、いつ使うのか、どのように使うのかなど、薬の5W1Hを、そのメカニズムから理解していただきたいと考えています。
研究では、いくつかの課題に取り組んでいます。一つ目は、がんにおける低酸素応答の分子メカニズムの解析です。低酸素応答とは、酸素濃度が低下した時に、細胞を保護し、適応させるために引き起こされる細胞応答です。この応答は、がん・虚血性疾患・炎症性疾患など、さまざまな疾患と密接に関わっていることが知られています。がんは低酸素環境で悪性化します。腫瘍内に血管を引き込んだり、細胞死に抵抗性を示したり、浸潤・転移能を高めたりします。さらに、がんのおおもととなるがん幹細胞の維持にも低酸素環境が作用していることが近年報告されています。イメージング、シングルセル解析、代謝解析などの先端技法を駆使して、これらの悪性形質を引き起こす分子機序を明らかにし、がん治療薬の開発に結びつけることが私たちの大きな目標です。二つ目は、病態形成におけるプロスタノイドの役割解明です。プロスタノイドは、4種類のプロスタグランジン(PGD2、PGE2、PGF2α、PGI2)と1種類のトロンボキサン(TXA2)で構成され、8種類の受容体を介して生体内で様々な作用を発揮している生理活性脂質です。アスピリンを代表とする非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsは、プロスタノイドの産生抑制がその主作用です。しかし近年、プロスタノイドには、抗炎症作用もあることが明らかになり、数種類のプロスタノイドが病態の悪化にも改善にも働いていることがわかってきました。そこで私たちは、8種類のプロスタノイド受容体欠損マウスを用いて病態モデルを作出し、その解析を通してプロスタノイドが病態形成においてどのような役割をしているのか解明し、様々な疾患の治療薬開発につなげていくことを目指しています。
私たち研究室では、これらのプロジェクトに参加してくれるメンバー(学部生、大学院生、研究員*)を募集しています。新しい薬の開発につながるような研究を一緒にしませんか?研究に興味がある方、ちょっとのぞいてみたい方、話だけ聞いてみたい方、気軽に当研究室までお越し下さい。メールでのご連絡(knakayama{アットマーク}asahikawa-med.ac.jp, {アットマーク}=@)もお待ちしております。 (*予算等の状況によりますので、まずはご相談ください。)
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